中国社会は性悪説をもとに成り立っている。子どもから大人までルールと罰則で縛る理由。

中国生活

中国で教育業に携わり、また子どもに現地の教育を
受けさせて分かってきたこと。

中国の教育は性悪説を基準にしているということです。

性悪説とは
今から約2300年前に中国で生まれた説で
思想家の荀子によって唱えられた思想の1つ。

「人間はみな弱い存在である」

弱いからこそ、欲望に負けて怠けもするし
悪いこともする。

生まれながらにして弱い存在である人間がその後どうなるのかは、
教育によって左右されるとし、
正しい教育を身に着けることで善に変わるとしています。

この教育とは、儒教(じゅきょう)における「礼」のことを指しています。

 

参考サイト:性悪説をわかりやすく解説!正しい意味や性善説との違い、 荀子も紹介

人は弱い(悪いではない)存在であるから
教育や指導によって正さなければならない。

中国の教育が幼稚園から社会人まで
軍隊並みに厳しいのはそういう理由からなのですね。

中国では人を「信じる」ことが少ないです。

教師が見ていなければ怠けたり悪いことをするに
決まっているから監督管理する。

幼児は何も知らない、できないから
1から10まで教える。

社会人になっても放っておいたら
頑張らないから懲罰を与える。

性悪説を基準にしていると考えれば
全て合点がいきます。

中国式教育:姿勢から教える幼稚園

例えば幼稚園の学齢前クラス(小学入学準備班)では
先生の話を聞く姿勢をまず厳しく教えられます。

ウルトラマン式挙手。

詩の暗唱や歌を歌う時、発表の時も
姿勢を正すように厳しく指導されます。

あと給食を残さず食べるように
かなり厳しく言われるそうです。

娘は中国の食事になかなか慣れず
年長の時には
残したら食べろと言われるのが嫌で
先生が見ていない隙にこっそり嫌いなものを
かばんに放り込んで持って帰ってきたり
してました。

ドラゴンフルーツをそのまま放り込んで帰ってきた
時は本やノートが紫色になって唖然としました。

(私も小学生の時嫌いな椎茸をかばんに放り込んで
ビチャビチャにしたことがあるので子は親に似ますね・・・)

他には幼稚園では生活指導が基本なので
軍国愛国教育以外は
特に違和感を感じたことはありませんでした。

中国式教育:懲罰が始まる小学校

娘は現地の公立小学校1年生になりました。

入学前の子ども連れの保護者説明会で
1時間くらい学校のルールについていろいろ説明が
ありました。

日本と違うなあ、と感じたところは
下校の時に教室から先生を先頭に小鴨の行列のように
整列して出てくるところです。

体育の授業で運動場から戻る時は
整列した上に掛け声までかけています。

非常に軍隊っぽい(笑)

入学して間もない頃に
事件が発生しました。

娘の隣に座っている男の子が
授業中に娘の消しゴムをとって
消しカスを丸めたりして遊んでいたら

先生が消しゴムを取り上げてしまい、
それはその男の子のものではなく
娘のものであるにも関わらず、
返してもらえなかったと娘が言いました。

担任の先生にそのことをチャットして
娘のものだから返してあげてほしいと
伝えると、先生は
「それを子どもに言わせるようにしてください。
自分で問題解決する練習をしなければいけません」と
言われたので、それもそうかと思い、娘にそう伝えましたが

まだ入学したばかりで先生にもクラスメイトにも
慣れていない娘は、言えなかったようです。

娘には別の消しゴムを持たせましたが
程なくしてまたそれも取り上げられたと
言うではありませんか。

聞くとまた隣の男の子が授業中に娘の消しゴムで
遊んでいて、返してと言っても返してくれず
先生に見つかって取り上げられたと言いました。

2回続いたので、私はブチ切れました。

夜に担任に怒りに任せて長々チャットしました。

遊んでいたのは娘ではなく隣の子で
人のものをとった挙句に授業中に遊ぶなんて
悪い事をしたのは隣の子であり、娘ではない。

それなのに娘の持ち物を先生が取り上げて
そのまま何日も返さないのは理不尽であり
叱られるべきはその男の子であって
娘ではない。

先生は人のものをとるのはいけないことだと
子どもに教えるべきではないのか、
娘に自分で言えとおっしゃるがまだ入学したばかりで
慣れていなくて勇気がないと言っている。

悪いことをしていないのにこんな思いを
させる必要はない。明日消しゴムを返してあげてください。

というようなことを訴え、先生を納得させましたが
性悪説を感じた出来事でした。

さらに、学校にお菓子を持って行くのは禁止ですが
持っているのを見つけたら成績から減点すると
通達がありました。

他には娘は体操教室に通っているのですが
この間体験で参加したバスケットボール教室では
コーチが3回投げてシュートできなかったら
棒でお尻を叩く(軽〜くですが)

だるまさんが転んだのようなゲームをして
動いたらスクワット5回。

小学校低学年の子どもにも
このような懲罰を与えることに
驚きました。

中国式教育は褒めて伸ばすというより
罰を与えて恐怖で指導することが
主流のようです!

娘は体験が終わったら泣きながら
あの先生嫌い〜絶対行かない〜!と
言いました・・・。

高校と大学は朝と夜の自習が義務

「自習」
それは、先生不在で自分で学習すること。

私はそう理解していますが、中国の「自習」は
少し違うようです。

学生たちから聞いた話では
高校3年生は朝5時半に学校の自習室に行って
自習をしなければならない。

地域や学校によって時間は違うようですが
私が聞いた中で一番早い学校は朝5時半でした!

夜学校が終わってからも遅い時は11時まで
自習室で学習があったとか、驚愕の事実を
聞きました。

受験生であれば、生活の中心が勉強になるのは
当然ですが、中国の場合は強制自習で
教師に報告義務があり、自習であっても欠席の時は
連絡しなければならないとか、
それってもはや「自習」と呼ばないのでは・・・と
思います。

受験が終わり、大学生になっても強制自習は
続きます。

私の勤務校では大学1、2年生は
朝1時間、夜1時間の自習が義務付けられているようで、
その時間に宿題をしている学生が多いようです。

中国は大学も膨大な量の宿題が出ます!

私も出してます!(優しい方だと思ってますが)

さらに1、2年生は早朝ジョギングまで
義務付けられていると聞いた時は
おったまげました。

軍隊・・・なの?

遅刻が多い学生や授業態度が悪い学生は
廊下のホワイトボードに学科と名前が
書かれて、みんなに晒されます。

中国の学生は大学生になっても
まだまだ自由とは程遠い生活をしています。

ほとんどが寮生活なので、
生活も厳しく管理されています。

大学生活詳細はこちらの記事
【中国の大学の実態】中国で育っても子どもを中国の大学に入れたくないと思う5つの理由

社会人になっても厳しい管理と罰則方式は続く

中国は、社会全体が性悪説をもとに成り立っているので
社会人になっても管理と罰則は続きます。

私は大学で働いているので大学教員を例にします。

まず、教師にも「绩效」という
平常成績制度があります。

勤務態度や欠勤の有無、その他仕事の評価に応じて
お金がもらえるというものです。

基本額は決まっていて、何か問題があれば
そこから引かれるという形式です。

勤務校では教室の掃除は学生と教員に任されているのですが
授業後に抜き打ちでチェックが入り汚かった場合
担当教師の成績から引かれるということが実行された
学期がありました。
(反対の声が多かったのか、1学期だけで終わりましたが。)

教員強制参加の講座や学長の講演、会議などの際、
監視カメラが教員を監視していて
携帯を見ていたり寝ていたりすると上に報告すると
脅されます。

コロナ禍になり、学校は封鎖されました。

学生は寮生活なので閉じ込めておくことが容易ですが
教師は学校の外に家族と住んでいる人もいます。

外国人教師には在宅オンライン授業が許されていますが
基本的に中国人教師は学校が指定した時間はずっと
学内に留まって対面授業を要求されています。

一時的に子どもがいる中国人教師に在宅オンラインを許した時
学校は何度も在宅であってもきちんと仕事をするようにと
QQグループで注意した挙句
ついには教師を信頼できないあまりに
赤ちゃんがいようと全員キャンパス内に宿泊を命じました。

家族とは離れ離れです。
赤ちゃんに薬を飲ませて無理やり断乳して学校に
泊まり込みを始めた女性教師もいます。

一流校ではこれほど教師を信用しないということは
ないかもしれませんが、うちは地方のレベルの高くない
大学なので、特に立派な有名な教授がいるわけでもなく
学校が教師を信頼していないことが日々の言動や
様々なルール、罰則からよくわかります。

大学でこれなので、義務教育ではもっと
厳しいだろうと想像できます。

まとめ:日本は性善説国家 育児は性善説でいきたい

私が中国人社会に深く入り込んで以降
驚いたことや納得いかないことの大体のことは
この”性悪説”で合点がいくような気がします。

日本は
反対に”性善説”で成り立っている社会だと思います。

自動販売機が多いことや
農家さんが無人野菜販売コーナーを設けていること

落とし物をしたらかなり高い確率で戻ってくるとか
海外から驚きの目で見られているこれらのことは

「人間の本性は善である」とするからこそ
できることですよね。

性善説の国で生まれ育った私には
中国社会のやり方に怒ったり不満を持ったり
することもしばしばですが、
性悪説が根付いているのだと思えば
少し理解できた気がします。

いかがでしょうか?

ただ、私は子育てに関しては
モンテッソーリ、シュタイナー と
ヨーロッパ式の教育を支持しており
家族心理学を学んだ観点からも

「子どもを信じる」ことを
育児の主軸においています。

人は本来善であり素晴らしい存在だという
性善説を貫きたいと思っています。

子どもをリスペクトする育児のやり方が
すでに周囲の中国人に驚きや感動を与えています。

私という外国の風が
微力ながら少しでも中国の子供や若者にいい影響を
与えられればいいなあ、と思いつつ
厳しい社会で奮闘しています。

 

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