ニイハオ。梨杏です。
私は台湾に4年、中国広州に1年、マレーシアに2年住みました。
私が中国語ができると言うと
中国語を知らない日本人からよく聞かれることの1つが
「台湾って中国語?台湾語?中国のと何か違うの?」
ということです。
同じ中国語なんだけどそれぞれ違っているので
その違いについて書きたいと思います。
私たちが中国語と呼んでいるのものは中国の標準語
まず、私たち日本人が「中国語」と呼んでいるものは
中国大陸の標準語になります。
中国語では「普通語」と言います。
全国区のアナウンサーが使っている言葉、です。
中国の子供が学校で学習するのはこれです。
日本人が日本で中国語を勉強する時はこれになります。
台湾ではこの中国語は「国語」と呼ばれていて
台湾の子供もこれを学習します。
華僑の多い東南アジアでは「マンダリン」と呼んでいます。
中国語には2種類の漢字がある。簡体字と繁体字
中国大陸と台湾香港では使っている漢字が違います。
中国大陸では簡体字と呼ばれる簡略化された漢字を使っています。
全部漢字で書かないといけないから手が疲れるし大変だから
簡単にしちゃおうよ、という訳で政府が
「漢字簡化法案」なるものを作り、4度の改定の末
1964年にまとまったみたいです。
マレーシアやシンガポールなどの東南アジアの華僑も
この簡体字です。
台湾と香港では繁体字と呼ばれる
日本が戦前に使っていたような画数の多い漢字を使っています。
例えば
「学習」という漢字で見ると
簡体字→学习 日本の漢字→学習 繁体字→學習
台湾と香港では若干違うものもありますが概ね同じと思っても
いいでしょう。
音の違い:声調の数
中国語には「声調」と呼ばれる音の高低差があります。
普通語は4つ、広東語は6或いは9つです。
普通語より広東語の方が賑やかに聞こえるのは(香港映画の音声)
音のバリエーションが多いのも1つの要因でしょう。
中国語の7大方言
学校では「普通語」を学びますが
日本にも地域によって方言があるように、中国語にも多くの方言があります。
中でも違いが大きく、お互いに分かり合えないレベルの方言が7つに分類
されています。
名称 | 地域 | 声調 | 使用人口(概数) | 特徴 | |
1 | 北京語 | 北京、重慶、西安、南京など | 4 | 9億人 | 普通語の基礎。 母語話者数は世界一。 |
2 | 上海語 | 上海 | 6 | 8千万人 | 国内第二位の言語。 |
3 | 広東語 | 香港マカオ、広州 | 9(6) | 8千万人 | 古代中国語の特徴を残す。 |
4 | 台湾語・閩南語・福建語 | 台湾・アモイ(福建省) | 7(8) | 6千万人 | ローマピンインではなく注音符号で音を 表す。 若い人は話せない人も増えている。 |
5 | 湖南語 | 長沙 | 5~6 | 3千万人 | 毛沢東の母語 |
6 | 客家語 | 華僑・台湾の一部 | 5~6 | 客家人の言語。衰退傾向。 |
7 | 江西語 | 江西省 | 7 | 3千万人 | 客家語に近い。 |
日本の関西弁のように自分は喋れないけど聞いてわかる、程度の差ではなく
家族が使っていなければ全く分からないそうです。
私も子供の頃父方の祖母が話す鹿児島弁が全然分からなかったけど
それ以上ですね。沖縄方言フルだと理解不能、そんなイメージでしょうか。
私が実際に住んだ地域でいうと
台湾では家庭では年配の人が台湾語を話し、最近の若い人は話せる人もいれば
聞いてわかるけど自分は話せない、という人もいます。
友達同士の会話は国語(普通語)です。
客家人なら家庭では客家語、でも同じく若い人は話さなくなっている。
普通語教育が浸透したためです。
台湾で住んでいたアパートの大家さんの娘と
仲が良かったんですが、私が部屋に遊びに行っているときに
彼女が右手に家電、左手に携帯を持ち
母親に台湾語、友人に国語で話していたのは驚きました。
切り替えすごっ。
広東語に関しては勢力が強くて
香港はもちろん、大陸の広州でも普段地元の人同士が話している会話は
広東語がメインです。
他の地域の人や外国人には普通語で話します。
中国大陸では互いに相手の訛りや語彙を聞いて
だいたいどこの出身か当てたりします。
ちなみに普通語は北京方言がベースになっていますが
全く同じではありません。
北京方言は普通語より巻き舌やそり舌音が強く
シャーシャー聞こえます。
だから私は一時期彼らを「シャーシャー族」と
呼んでいました(失礼)
シャーシャー聞こえたら
「どこから来たの?」と聞くと
得意げに「北京だよ」と言います。
北京人は中国の中心大都会北京出身であることを
非常に誇りに思っています。
東京人も東京出身であることを少しは誇りに思っている
気もしますね・・・。
発音記号の違い
上の表でちらっと書きましたが
発音記号も大陸と台湾では異なります。
大陸ではローマピンインという
アルファベットを用いたもので発音を示します。
Xuéxí 上のチョンチョンは声調を表しています。
一方台湾では注音符号(ボポモフォ)という特殊な記号を
使っています。
「ㄅㄆㄇㄈ」
台湾人でピンインを書けない人も多いし
逆に大陸の中国人は通常注音符号を知りません。
少数民族の言語もある
7大方言をご紹介しましたが
広大な中国大陸には少数民族が55います。
彼らもまた独自の言語を持っているので
少数民族の言語まで入れると正確にはカウント不可能だそうです。
東南アジアの中国語
私はマレーシアのペナン島で2年生活していましたが
ペナンはマレーシアの中でも華僑の多い町として有名で
彼らとは中国語(普通語)で会話していました。
マレーシア華僑もチャイニーズスクールに通っていたり
現地の学校でもマンダリンの授業があるので(選択式のことも)
普通語が話せる人が多いです。
中にはイギリス系の学校にしか行っていないから
中国語は全く分からない、という華僑もいましたが。
マレーシアの公用語はマレー語なので
マレーシア国籍である彼らは当然マレー語を話します。
中国語もマレー語訛りです。
ちょっと聞き取りにくかった。
そして東南アジア華僑は今3代目4代目の人が多いですが
祖先は中国大陸から来ています。
概ね福建省か広東省です。
祖先の出身地域によって家庭で話している方言が
福建語(台湾語とほぼ同じ)か広東語になります。
シンガポールもマレーシアから独立した国家なので
事情は同じです。
ただここでも普通語教育の浸透によって
彼らの方言が弱まりつつあると祖先が福建人の
マレーチャイニーズの人が言っていました。
私はこの人に少しだけ福建語を習いましたが
普通語を媒介語にして福建語を勉強すると
非常にわかりやすい。
でも普通語を知らないでいきなり方言は
難しいだろうなあ、と思いました。
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