染色体が男性であるが性自認が女性であることから女子ボクサーとしてオリンピックに出場したアルジェリアのイマネ・ケリフ選手が決勝で中国の楊柳(ヨウ・リュウ)選手に5-0で判定勝ちし、金メダルを獲得しました。
イマネ・ケリフ選手の体格がどうみても男性であることから不公平だとする声が圧倒的に多いパリ五輪女子ボクシング66kg級ですが、イマネ・ケリフ選手の母国アルジェリアと決勝で敗れた中国の反応を中心に、対戦した各国の反応を調べてみました。
イマネ・ケリフ選手の性別騒動とは?
イマネ・ケリフ選手は”性分化疾患”を持っているとされています。生まれ持った性器も性自認も女性であるが、染色体が通常女性はXXなのに対し、イマネ・ケリフ選手は男性の染色体XYを持っており、体格が男性化しています。
2023年の国際大会でIBA(国際ボクシング協会)は決勝戦前に性別不適合として失格にしましたが、今回のパリオリンピックでは女性としての出場が認められました。
IOCは性別判断の基準として「12歳時点での性器での性別判定」としています。
そのため、性転換をした訳でもなく、女性として生きてきたイマネ・ケリフ選手は「女性」と認定されました。
しかしその体格、筋力には見た目からして圧倒的に女性との差があるため、体格と筋力が直接勝敗に関わるスポーツ競技においては公平ではないと問題視されています。
イマネ・ケリフ選手が女性ボクサーとして金メダル!海外の反応
中国の反応「男が女殴っただけ」「女子の真の王者は楊柳だ!」
決勝で対戦し、5-0で敗れた楊柳(ヨウ・リュウ)選手の中国は、ケリフ選手の性別問題に対し、公式には批判していませんが、ネット上には多くの批判の声が寄せられています。
【ボクシング ”女子”66kg級 決勝戦】
イマネ・ヘリフ(ALG)VS楊柳(中国)
ヘリフが判定で楊を破り金メダル獲得 pic.twitter.com/WikplFC1UF— カシミール88 (@kashmir88ks) August 9, 2024
(骨格と筋肉の大きさの差は一目瞭然です)
イマネ・ケリフ選手本人の反応
- 自身への憎悪に満ちた批判の波は「人間の尊厳を傷つける
- アスリートへのいじめを終わらせましょう
- 金メダルは私に対する反発への「最高の反応」
ーAP通信のスポーツビデオパートナーであるSNTVの取材に対して
アルジェリアの反応「彼女は批判や攻撃をエネルギーに変えた!」
- ケリフの金メダルは、アルジェリアにとって女子ボクシングで初めての金メダル
- 数百人のケリフの支持者がアルジェリアの旗をまとい、音を立てて応援し、パリの有名なローラン・ギャロスのテニス複合施設を訪れ、スタンドを埋め尽くしては声援を送り、アルジェリアの旗を振った
- ケリフの試合は地元新聞で「運命の夜」と呼ばれ、アルジェの他、多くの都市の公共広場に試合観戦のためのスクリーンが設置されました。
- ケリフの出身地であるティアレト市では、猛暑にもかかわらず、彼女がボクシングを学んだジムにケリフの壁画を描く作業が進められました。
「イマネは、彼女の女性性に対する批判や攻撃をエネルギーに変えることに成功しました」
「中傷は彼女にとってひとつの後押しとなり、結果的に災い転じて福となりました。」ティアレトジムのムスタファ・ベンソウ氏
アルジェリアオリンピック委員会
IOCの反応「彼女は女性であり批判はヘイトスピーチだ」
トーマス・バッハ会長
- ケリフと台湾の林選手を擁護し、「私たちには、女性として生まれ、女性として育ち、女性としてのパスポートを持ち、長年にわたり女性として競技してきた2人のボクサーがいます」と述べた。
- 批判は「ヘイトスピーチ」
- 組織は「不確実性を好まない」が、「男性と女性を識別する科学的に確固たるシステムが存在するわけではない」と示唆
国際ボクシング協会(IBA)
「IBAの規則で定められた女性競技への参加資格基準を満たしていない」
イマネ・ケリフ選手と対戦した各国の反応
イタリアのジョルジャ・メローニ首相
二回戦で46秒で鼻の骨折疑いで棄権したイタリアのアンジェラ・カリーニ選手との対戦に対してコメント
- 木曜日にオリンピックヴィレッジでイタリアの選手たちを訪れ、カリーニがケリフと試合をしなければならなかったことを批判
- 2021年以降「遺伝的に男性の特徴を持つ」選手を女性と対戦させることに反対してきたと述べた。
カリーニ選手のコーチ
🩸🏟🇫🇷🇮🇹 最新情報: 男性として生まれたイマネ・ケリフとボクシングをしていたイタリア人ボクサー、アンジェラ・カリーニは、凄まじい打撃を受けた45秒後にイマネとのボクシング試合を放棄し、その結果鼻を骨折した。 pic.twitter.com/wfDEiVmLy3
— 菊千代 (@kickchiyo) August 2, 2024
ハンガリーの対戦相手アンナ・ルカ・ハモリ
- 「公平ではないと思う」
- ハンガリーのボクシング協会もケリフの出場を抗議
準決勝の対戦相手、タイのスワンナフェング・ジャニェーム
- 性別について直接コメントは控えるも、「彼女は女性だが非常に強い」と述べた
「X」サインを作りながらアリーナを去ったブルガリア:スヴェトラナ・カメノワ・スタネバ選手
- 「ボクシングにとって良くない」
- 彼女のボクシング連盟も林とケリフの2024年パリ大会への参加に「強く」反対しているとコメント。