中国の教育事情 小学校で一生が決まる?!

中国学校生活
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この9月、娘は中国の公立小学校に入学しました。

この体験を通して目の当たりにした
中国の教育事情をお話ししたいと思います。

中国では小学校から競争が始まる。早ければ幼稚園も!

中国の教育システム(2022年現在)

まず前提として、中国の教育システムですが

幼稚園3年→小学校6年→中学校3年→高校3年→大学4年または職業学校2年

のようになっています。ほぼ日本と同じですね。

これまでは3歳までは祖父母が面倒を見るのが主流でしたが
最近は祖父母と離れて暮らしている夫婦も増え、

日本同様元気いっぱいのおじいちゃんおばあちゃんが
せっかくの老後をまた子育てに費やしたくない。
趣味や社交活動などを楽しみたい、と孫の引き受けを断る
場合も増えてきたようで

0歳から3歳までの託児所も増えてきたようです。

中国の幼稚園事情

幼稚園は公立も私立も有料です。
公立は安い分競争率が高く、都会になればなるほど
入園が難しくなります。

私立は娘が通っていた園は1年間で1万元程度の学費。
それに毎月350元ほどの給食費でした。

年間日本円にして25万円ほどですね。

私立にしては良心的価格だと思います。
調べた限りでは上海などの大都市では私立は1ヶ月で
これくらいするところもありました。

ちなみに大学の外国人教師の給与は5000元〜1万元程度
なので、上海や北京の私立は給料全部飛びます・・・。

それでも私立は課外授業や活動が充実しており
教師の質も高く、園の設備もきれいでいろいろ揃っているので
人気があります。

娘の幼稚園では放課後に園内で
美術、レゴ、ダンス、スケートなどの課外授業をしてくれ(別料金だが安い)
街のお教室に送迎する手間と費用が省けました。

さらにものすごく広い芝生の園庭に遊具が設置されていて
今年は専属の室内プールと体育館も開設されました。

公立幼稚園は課外授業もないし
設備もあまり揃ってはいないようです。

外国籍の子どもが公立に入るのは難しいので
外国籍なら必然的に私立、もしくはインターになるようです。

小学校は学区制度。よりよい学校に入れるために学区に家を購入

小学校は8月31日時点で満6歳になる子どもが入ります。

娘は誕生日が11月なので、7歳になる年の8月31日に小学校に入学となり
4月始まりの日本の同級生より半年遅れて小学生になりました。

公立小学校は日本同様学区制で
家の最寄りの学校に入ることになります。

日本なら何の心配もなく、当然のように決まる小学校ですが
中国ではここから競争が始まります。

聞くところによると、中国では
義務教育でも地域や学校によって資源や教師の質に差がある

ために、少しでもいい学校に入れようと
希望の学校の学区に家を購入して引っ越しをする人が
多数います。

幼稚園のあるクラスメイトは娘の小学校のために
一級都市(日本でいう県庁所在地)に引っ越して行きました。

幼稚園で知り合ったママ友は
2番目の子の小学校入学に合わせて幼稚園の近くの団地から
町で一番いい小学校の学区の戸建てに引っ越しました。

北京の小学校入学競争事情を描いたドラマ
「虎妈猫爸」を見て知ってはいたのですが

大都市だけの話かと思いきや
こんな地方の小さな町でも実際にそんなことがあるのかあ、と
驚きました。

このようなことがあるため
中国の小学校入学条件には

”学区内に2年以上前に登記した不動産があること”
”入学申し込みの前3ヶ月間の光熱費の領収書を提出”

というものがあります。

というのも、入学直前に一時的に家を購入して
すぐ売ったり、住居にしていない不動産を住居として
申請したりする人が過去多くいたからでしょう。

友人はしっかり2年前に家を購入して
じっくり内装工事を行い
3ヶ月前からちょこちょこ荷物を運んで光熱費使用の
実績を作り、入学の2週間前に完全に引っ越すという
用意周到さでした!

日本じゃ小学校のために引っ越す、というのは
あまり聞かない話ですよね。

特殊な事情のある児童の優遇入学制度

学校には一定枠の”特殊な事情のある児童の優遇入学制度”が
あるそうです。

外国籍の児童はこれに当てはまります。

親が外国人の場合、家を購入している人ばかりではありません。
国際結婚を除き、仕事で来ている外国人は普通は勤務先が
提供する家に住んでいることが多いと思います。

私の場合は大学が建てたマンションに
大学負担で住んでいますので、学区を選んで引っ越すことも
できません。

外国籍の場合は、学区に限らず
例えば勤務先に近いとか、同僚や友人の子どもと同じ学校がいいとか
そんな理由で学校を選んでも、優遇制度で通るみたいです。

娘も家から最寄りの学校ではなく
いろいろ世話してくれる友人の娘と同じ学校を希望して
さらに大学の外事部の先生の子どもも同学年なので
彼が教育庁に直接事情を話して優遇制度で入れてもらいました。

優遇制度が適用されるのは
他に”教員の子女”というのがあります。

つまり教師の子どもも希望を通してもらえるので
私の場合は”大学教員”+”外国籍”のダブル特殊事情で優遇枠でした。

他には”高层人才”、つまり高学歴のホワイトカラー職業の子女
修士や博士、政府関係者

そして軍人、退役軍人の子女

このような親を持つ子どもが特殊事情の優遇制度枠に
入るようです。

娘が入った学校は1クラス45人、1学年7クラス
315人!

田舎にしては多いです。
やはり町で一番人気の学校のようでした。

優遇枠はその中でたったの5人ということなので
狭き門ではあります。

優遇条件に当てはまる家庭は
一般家庭の条件である学区内に不動産があること、
などが免除され、勤務先に近い学校や
町で一番いい学校に入ることができます。

小学校から”いい学校”にこだわるのは将来修正が効きにくい教育制度にある

中国はまだまだ学歴社会です。

そして教育資源の統一が完全ではないため
地域や学校によって教育レベルに差があります。

小学校で受けた教育レベルによって
中学校が決まり、中学校までに受けた教育レベルに
よって高校が決まり、そして大学が決まる。

大学によって就職可能な職業も決まってきます。

小学校の教育はすべての基礎、土台となるので
確かにここは一番大事だと言えます。

日本は教育資源が全国すべての公立学校で
統一されていますので
義務教育の間に教育レベルを気にする人は
ほぼいないのではないかと思います。

より高みを目指す人は私立を選びますよね。

中国の場合は、公立の間でも選択と競争が
行われているのです。

日本であれば一般的には高校受験の時に
初めて学校のレベルや競争を意識し始め、
そこから頑張っても、あるいは大学受験から
頑張っても十分間に合います。

中国の場合は、小学校で受けられる教育の質に
差があるため、中3になってなんとなく
将来の夢を考えて「いい高校、大学に入りたい!」と
思っても

そこまでの土台ですでに差ができているため
逆転が難しいのだと中国人パパが話していました。

幼稚園や小学校から「いい学校」を探したり
習い事をさせて優秀な土台を作る。

そしてそれは親がお金に余裕がなければ
できないことなので
子どもの一生はやはり家庭環境、親の経済力で
決まると言っても過言ではないかもしれません。

親に経済力がなければ子どもが受けられる教育の質も
低いものとなり、その子もまた低収入の職業しか
選べなくなる。

そうして貧困が代々続く。

高所得の職業には大学院卒の学歴が必要な場合が
多いので、だからこそ親たちは子どもが小さいうちから
必死なんですね。

義務教育の質が全国で統一されている、というのは
当たり前のように思っていましたが
先人たちの努力の結晶であり、先進国の証なのだと
思いました。

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