交通ルール文化比較
私はペーパードライバーで運転しないのですが、昨年中国の運転免許を取りました。
今は結局免許のいらない電動バイクに乗っています。外国で道路を走っているといろいろ思うところがあります。
そこで、他にもいろんな国でタクシーやバスに乗ったり知り合いに送迎してもらったり自転車に乗ったり歩いたりして感じた交通ルールの文化比較をしてみたいと思います。
中でも、私が住んだことのある国で特に印象に残っている交通マナーをあげてみたいと思います。
中国:みんなで渡れば怖くない。
まずは広大な中国。
中国は土地が広いので道路もすっごい広いです。私が以前住んでいた広州は都会なので片側3車線、合計6車線の道路がよくありました。
そんな広~い道路を歩行者が横断したいとき。(信号や横断歩道ではないところをです)
車が途切れるのを待っている間に歩行者がだんだん集まってきます。
一番手前の車線の車が途切れた瞬間!歩行者のうちの1人が一歩足を前に出します。するとすかさず全員がその人の横にピシッと並びます。
また一歩、また一歩と確認役?の端の人の動きにピタッと合わせて数人が一斉に進みます。車線が多いのでどこかで車が近づいてきてしまいます。
でも歩行者の塊がいるので突破するわけにもいかず、止まります。
そのように、偶然居合わせた歩行者全員が最初の一歩を踏み出した人にまるで軍隊のように足並み揃えて一緒に進んで行くのです。
これは非常に合理的かつ安全な技!
「6車線、みんなで渡れば怖くない。」
それから鉄則は
横断するときは絶対に走ってはいけない。です。
走ると別車線から走ってきた車がその動きが見えずにぶつかる可能性が高いですよね。衝撃映像などでも走って渡ろうとした人がはねられるケースがよく映ってます。
道路を歩いて渡るときはゆっくりと。みんなで。
人口が多い国のマンパワー活用術。
あっぱれ。
台湾:横断歩道も歩行者優先じゃないからね。
台湾では青で横断歩道を渡るときにも自分の目で必ず確認が必要です。
日本では横断歩道を歩行者が渡っているときは曲がる車は必ず止まらなければならない、という
法律があるので普通は車が止まってくれます。
台湾でも法律では同じ感じらしいんですが止まってくれるとは限りません!
この間も台湾に留学していた私の中国語の生徒さんが横断歩道を歩いているときに曲がってきたタクシーにぶつかりそうになって、間一髪衝突はしなかったそうですが驚いてムチウチになってしまったそうです。
私は在住時大きなバスがギュイ〜んっと突進してきてひやっとしたことがあります。
多いのは、バス、タクシー、それからバイク。
バスやタクシーなど運転のプロフェッショナルたちは客商売だからかいつも急いでいます。スピードも出すし歩行者優先にのんびり待ったりしたくない様子。
バスやタクシーが見えたら歩行者の方が止まりましょう。
マレーシア:ルールじゃなくて周りの車を見るんだよ。
お次は活気のある東南アジアです。
車道を走る車は右往左往、まっすぐ走らずに自由に動きながら走っているように感じます。
タクシーに乗っているときに混み合っている道路を走っていて、みんなジグザグ運転しているように
感じたので危なくないのか運転手に聞いてみたことがあります。
「逆に危なくないんだよ。みんなが周りを見ているからね。」
なるほどそうかもしれない、と思いました。
不規則な動きをする車があることが当然という認識なのでみんな周囲の車の動きに注意して合わせるように動いています。
だから逆にぶつからない。
日本の交通の課題
日本で車に乗っていると多くの人が
「ここは直進優先道路。」「ここは右折禁止。」「ここはスピード落とす」とかルールを”みんなが守るべき常識”だと思って走っています。
そんな中で不意にルールを守らない車が現れるから、とっさに反応できなくて事故になる。
「ルールを守らない人もいる」「みんな先に行きたい」
そういう風におおらかに考えていると不意に割り込まれてもさほど腹も立たないんですね。
日本は不寛容社会だと言われていますが「こうするのが当たり前でしょう〜!」とか「常識でしょうが!」とか思うから腹が立つんですよね。
多民族国家、南国マレーシアの人はそんな風に人に自分の常識を押し付けません。
みんな違っていて当たり前。でも人間の心理は共通しているところが多いからお互いにそれをわかっている。
運転しているときは
誰だって事故は起こしたくない。誰だって先を急ぎたい。
そう思い合っているから逆に案外事故らないのかもしれません。
私は、日本の交通も課題がまだまだいっぱいだと感じます。自転車専用道路の整備と歩道を広くするのは緊急にやってほしいですね。
皆さんも、外国では「常識」なんてないと思って、自分の目で安全を確認するように
お気をつけください。