私が最初に中国語を習ったのは、大学1年の時。第二外国語としてです。
その先生が、中国が好きすぎてもはや中国人にしか見えない日本人のおじさんだったのですが、中国人は食に対するこだわりが強い。食べることが大好きだ、という話の流れで
挨拶は「ニイハオ」ではなく、「吃饭了吗?(チーファンラマ)」「ご飯食べた?」なんだよ、とすごく嬉しそうにものすごく大きな字で黒板に書いたのが私にとって非常に驚きで、最も忘れない授業になっています。
嘘でしょ?「こんにちは」的な感じで「ご飯食べた?」って聞くなんて、と思いつつも、さすが食は中国にあり、面白いなあ、と思ったことを覚えています。
さて、それから20年の月日が流れ、私は中国に住んでいます。
日々中国人と会う中で、彼らの挨拶については物申したいところが多々ありますが、吃饭了吗?と聞かれることはそれほどないと思っていました。
しかし先日、ほぼ毎日会うアパートの清掃員のおじさんに夕方会った時、本当に「吃饭了吗?」と聞かれたのです!
なんか久しぶりで、そして直球だったので返事をした後に「吃饭了吗?」って言われた〜、本当に言うんだ〜、となんだか感慨深かったです。
そう聞かれた時になんて返事をしたらいいかと言うと私は普通に食べていない時は「还没吃」(ハイメイチー)まだ食べていない。食べていたら、「吃了」(チーラ)食べたよ。と答えています。
そして中国人は滅多に「你好(ニイハオ)」と言いません。教科書で習う「早上好」「晚上好」はもっと言いません。
日本人なら、例えば幼稚園の保護者に送迎時に会った時に朝なら「おはようございます」昼なら「こんにちは」夜なら「こんばんは」と教科書通りに挨拶をしますよね。
そんな時中国人は絶対にそんな挨拶をしません。
出社してオフィスに入る時、日本なら「おはようございます」と言いながら入りますよね。中国で出勤時に同僚に「早上好」と言っているのは私くらい。
では中国人同士はどんな挨拶をしているかと言うと、挨拶をしていない!!同僚や友人なら、いきなり話始めます。
出勤してきて顔を合わせるなり「今日何でこんな暑いのよ〜」とか「あそこ車止められなくなってたんだけど、どういうことか知ってる?」などいきなり話し始めます。
たいしてネタがない時でも「授業終わったの」「今からご飯行くの?」など見て分かることを挨拶として聞きます。
それさえもない時は、何と無言で席に座るのです。
送迎時しか顔を合わさない程度の関係の幼稚園の保護者では何度か会話をしたことがある関係なら、
「お迎えに来たんですね」「ええ、今日はちょっと早く来れましたよ。」のような当たり障りのない短い会話をします。
全く話したことのない関係なら、完全スルー。人によってはすれ違う時ににっこりしてくれる人もいますが。
話すことがあれば話すけど、無理に挨拶したりはしない。
日本なら話したことがなくても同じコミュニティに属する人だと分かる場面においては「こんにちは」くらい言うのが礼儀とされていますが、中国にはそのような概念はないらしいです。
挨拶文化を私が今毎日接しているアメリカ人、中国人、そして日本人で比べてみると、
アメリカは全く知らない人にも挨拶する文化。
日本は同じコミュニティに属する人には挨拶する文化。
中国は相手を知っている場合のみ挨拶する文化。
そう言えるのでないかと思います。
これは各民族の「ウチ」と「ソト」の意識の違いと言えますが、
それについてはまた別記事で。