大学の外事部と外国人教師の異文化コミュニケーション

日本語教師
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外国人教師の居留許可や契約更新、銀行口座の開設や家のトラブルなど
生活に必要なことは、大学の外事部(外事办)というところが
担当します。

彼らは大学の中で最も異文化コミュニケーションに頭を悩ませている中国人です。

今私の大学には全部で4人の外国人教師がおり、私以外は全員アメリカ人
男性で、全員年配です。

1人はもうこの大学に20年いる70代半ばのおじいちゃん先生で、
彼は名誉市民にもなっており、中国語は話せないものの、
中国人社会には非常に溶け込んでいて、みんなに慕われています。
この人は何も問題ないと外事部の教師たちは言います。

問題は残る2人のアメリカ人です。

1人は70過ぎで、他人と関わることを好まない一匹狼のような、
孤高の老人です。

授業の時だけ学校に来て、終われば直帰。
食事会もパーティーも課外活動は一切参加しない。

お金にうるさく、1元のバス代を自腹で払いたくないので学校側に
老人用の乗車パスを発行しろとか、学校側指定の銀行口座を開設したくないとか、
アパートの騒音で外事部に電話したり、とにかく文句が多くて付きき合いにくいと言います。

確かに必要最低限しか他人とコミュニケーションしない孤高の人だけれど
利害関係のない私には愛想良くしてくれます。

私はこういうタイプの年寄りって一定数いるようなあ、と思うし
特に嫌いではありません。
むしろ自分に正直なところは好きなくらい。

私が子どものバースデーパーティーに招待したらプレゼントを持って
来てくれて、他のアメリカ人が彼が来たことに驚いていました。

もう1人は60歳の男性。
この人が今一番面倒かもしれません。

彼はこの学校に来て3年半になりますが、1年半ほど前に中国人の彼女が
できてから、ひどくわがままになったようです。

コロナ禍の中で今回の冬休みにアメリカに帰国しました。
年老いて老人ホームにいる母親が心配でもう2年も帰ってないから
例え中国に戻れないことになろうとも100万円かかろうとも
今回は絶対に帰ると、外事部の心配をよそに、帰ってしまったのです。

それはいいとして、中国に戻った時の隔離ホテルの費用を
本当は自腹なのだけれど、学校に負担しろと言ったり、クリスマスを母国で
過ごしたいからとまだ学期が終わる前に1人早めの冬休みを始めたり
帰る前からわがまま放題でした。

そして、戻ってきた時がもっと大変だったらしいです。
外国から中国に入る人はみんな2週間のホテル強制隔離が義務付けられて
いて、それは100も承知で彼は帰国したはずだったけれど

空港から専用バスでホテルに着いた時、ホテルが思ったよりボロいとかで
彼は下車を拒否し、ごねられて困った医療スタッフが外事部に電話し、
このままだと警察を呼ぶと言われたと・・・・

そして今日も、外事部が銀行カードのことで外国人教師を招集したけれど
彼は「プライベートでいろいろあって気分が良くない」と言う理由で来ず、外事部主任は
「もう彼には本当に腹が立って、あいつが契約更新するかどうかもうどうでもいい。
学校の仕事や中国政府の政策に協力しないならもうどうにもならない。」と私にこぼしました。

あらあら・・・

ごねる年寄りは、面倒だ。

かく言う私はというと、
「あなたは中国語を話すし、中国と学校のやり方に協力してくれるから感謝している。
私たちはあなたを歓迎している。」
そう言ってくれています。

でも私は様々な理由から来学期娘が小学校に上がるタイミングで学校を
変わろうかなと考えていて、新しい職場を探し始めました。

契約更新のための健康診断の話が出たので、更新しないかもしれないと
話したら、「私たちはあなたとあなたの娘のことが好きだから、
ここに残って欲しい。」と引き止められました。

好きだと言ってもらって、引き止めてもらえるのは嬉しいです。

だけど居留証更新のための健康診断は居留許可申請前にするので
9月に期限が来る私は8月にすればいいものを、3月に期限が来る
アメリカ人と一緒に今やって欲しいと言われました。

理由は複数人一度にやった方が自分たちの仕事の手間が減るから。

でも私は前は8月にやったので、まだ半年しか経っていないし
何より次の1年はこの学校にいないかもしれないので新しい学校が
居留許可の手続きをするならその学校の担当者と健康診断に行く
のではないかと思って
「まだやる必要ないと思う。」と言うと、
「今一緒に行かないなら
後であなた1人のために私たちは連れて行かないけど、それでもいいか」
と言われました。

そして別の先生が出入国管理局に電話して確認して、
「健康診断書は中国全土で使えるから、今やっておけば
来学期別の地域に行った時も使える。安心して。」と言われ、

「じゃあ、行きましょう。」と答えたものの、

うちに帰ってからやっぱり納得できず、
健康診断書も有効期限があったような気がしたので
自分で調べてみたら
今やると私の居留証延長の時期にはギリギリ期限切れの
可能性がある。

なので、無効になる可能性があるから
今はやりたくない。
もし私が来学期もこの学校に残ることを決めたなら、
今学期中にアメリカから来ることになっている
出戻りの先生と一緒に行く。

その時点で別の場所に移ることを決めたなら、
ここで健康診断はしなくていい。

と私から提案し、今回は見送ることにしました。

だけど、あなたが好きだから残って欲しいと
言いつつ、あなたのためだけにはわざわざ連れて行かない、と
言うのはいかがなものか。

みんな学校に来た時期も居留期限も違うのだから
有効期限のあるものはそれぞれのタイミングに
合わせてやるしかない。絶対に必要なものだし。

それを仕事を減らしたいという理由で
こういう不安を外国人に抱かせるのは、
それってやっぱり大切にしている、ということには
ならないのでは?と思いました。

私の立ち位置は、中立です。
中国人側の立場と言い分もわかるし
外国人側の立場と言い分もわかる。

それぞれの不満も分かるし、私にも不満はある。

異文化コミュニケーションは難しい。
そして、おもしろい。

腹が立つことも、あるけどね。

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