中国本土で日本語教師になる方法
中国本土で日本語教師として働く方法は
大学の日本語学科の教員になるか、民間の日本語学校の
教師になるかの2つが主軸だと思われます。
中国本土の場合は台湾と違って
4年生大学卒業(学士)でOKの学校が多く
入りやすいです。
応募条件は台湾の民間日本語学校と
同じ、
- 4年生大学卒業(本科)
- 日本語教師養成講座420時間修了または
日本語教育能力検定合格 - 大学または大学院で日本語教育を専攻修了
1は必須、2、3のいずれかに該当する方
専門分野は日本語教育でなくても大丈夫です。
私の勤務する大学では大学の専攻学科が
「語学系」ならよしとなっています。
私は英語学科の言語学学士ですが、
国際文化学科系や文学でも問題ないと思います。
また、最近は外国人教師にも修士以上の学歴を
要求する大学も増えてきており、
今のところは学士、修士、博士で
給与に差をつけている大学が多く見られます。
今後どう変わるかわかりませんので
これから目指す方は修士を取っておいた方が
安心で選択肢が広がります。
中国本土の大学教員の募集も台湾同様下記の募集サイトで
見つけることができます。
その中に複数の大学の募集を大学名を伏せた状態で
同時に掲載しているものがありますが、
それは仲介業者が間に入っています。
連絡をすると募集要項に掲載している大学以外にも
紹介できたりしますので、利用するのもいいと
思います。
仲介手数料は応募者が払うことはありません。
少し前までコロナ政策のために中国在住者のみ
応募可能となっていましたが、今見ると
中国に居住していなくても可。になっていました。
(2022年10月〜)
日本や他の国にいて中国に行きたいと思っている方は
やっとチャンスが来ましたね。
中国本土の民間日本語学校は台湾ほど多くありません。
というか、ほとんど見かけません。
広州に住んでいた時、2つほど駅前で見かけました。
台湾では民間日本語学校に就職
中国本土では大学に就職
これが今のところ最も簡単に
現地就職できる方法だと思います。
中国本土の大学日本語教師の生活
私は現在中国内陸北西部のとある地方都市で
生活しています。
(日本人が1人しかいないので身バレを防ぐため
都市名は伏せさせていただきます。ご了承ください。)
外国人がほぼいない内陸地方都市の
一流大学ではない大学の日本語科教師の仕事と生活を
ご紹介します。
授業以外は自由な勤務スタイル、週の半分は実質休み
外国人教師の担当コマ数は平均12コマ程度の大学が多いようです。
1コマ45分、2コマ90分で一回の授業となります。
私はただ1人の日本人教師ですが、日本語科自体が私の着任当時
開設5年の新しい学科のため、学生数も1学年25人〜45人と少なく、
授業数も少ないです。
なので私の勤務校の場合は8コマから12コマです。
今学期で言うと火曜午前2コマ、午後2コマ
木曜午前2コマ、午後2コマ、金曜午前2コマ、午後2コマで
うち火曜と金曜午前の授業は隔週です。
月水は休み。火金も隔週で半日休みということになります。
毎学期こんな感じで、週の半分は休みの状態です♪
もちろん、その間ずっと遊んでいるわけではなく
授業準備をしたり宿題の添削をしたりしています。
担当授業以外は自由です。
学校に来てもいいし来なくてもいい。
私の勤務校の場合は中国籍の教師は授業関係なく
職員室に朝8時半から夜6時までいないといけない
ルールになっていますが、それは一般的ではないようです。
レベルの高い大学だと中国籍の先生たちも
授業以外は基本フリーで、授業準備や自分の研究をしたり
しているそうです。
ただ中国人教師は研修や会議が多く、雑用に追われています。
外国人教師は基本的にそのようなものは一切参加不要ですし
イベントがなければ授業さえしていればいいです。
イベントとはスピーチ大会やアフレコ大会など
学生から頼まれて原稿の修正をしたり発音指導を
したりしています。
審査員もします。
あと卒論の答弁会に参加して意見を言います。
卒論指導は外国人教師にも担当させる大学もあるようですが
うちの大学はありません。
他の大学のことは知りませんが、うちの場合
卒論指導と就職支援がセットになっているので
外国人教師には任せられないのかなと思います。
あとは日本語クラブの活動に参加したり
義務ではないのですが、日本語サロンを開設して
学生との交流の時間を持つようにしています。
住居は大学提供で無料、光熱費も大学が負担してくれる
中国の大学では住居は無料で提供してくれることが
一般的です。
光熱費は大学や地域によるようですが、うちの場合は
完全に学校が負担してくれています。
部屋は3LDK、120平米ほど。
お洒落な内装で新築だったのでとっても綺麗です。
家具家電付き。
ベッドシーツまでつけてくれています。
中国のインフラはまだまだ行き届いておらず
シャワーの温度が安定しなくて冷たいか熱いかになるとか
水質が悪いから水道管が詰まりやすいとか
水回りは不満がありますが、
その他は概ね満足しています。
ただ、大学から車で20分もかかる場所にあるので
通勤は便利ではありません。
多くの大学は大学の敷地内に教師寮がありますが
うちの大学は単身用アパートはキャンパス内にあるものの
家族持ちの教師と外国人教師用は大学が建てた
離れた場所のアパートを提供されています。
その分、学内アパートよりずっと広くて
綺麗で、それに学校から離れているから自由です!
無料なのは外国人教師だけです。
交通費は給与の中に含まれる形で
支払われていますが、外国人教師用に送迎車が
あります。
ただ朝7時半出発、帰りは6時出発で
私は子どもの送迎の時間と合わないので普段は
乗っていません。
以前はバスやタクシーで通勤していました。
市バスは時間はかかりますが片道1元でお金はかかりません。
今学期は電動バイクを購入したため、片道30分程度かかりますが
バイクで行くことにしました。
学外に住む中国人の先生たちはみんな車で通勤しています。
以前別の大学に勤める日本人教師の寮を見せてもらったことが
ありますが、2DKで狭くて古くて絶対やだ、と
思いました(苦笑)
恵まれている方かな、と思います。
給与は安いとも高いとも言えないが生活にはゆとりがある
給与は5000元から12000元程度の大学が多いようです。
私の大学は最初高い方ではなかったのですが、
コロナ政策下の厳しい生活環境による外国人離れの状況を踏まえ、
2022年11月に突如基本給が倍になりました!
(うわ〜もうやめられません(笑))
中国地方都市のレストランの店員なら3000元程度
高校日本語教師も5000元から7000元
日系企業現地採用なら1万元〜3万元とかでしょうか。
民間の語学スクールの英語教師は
1万5千元以上が普通だそうですが、大学教師より
忙しいです。
為替レートによって変わりますが
1万元前後なら2023年3月時点では日本円で月給にして
20万円前後
円換算しても悪くないですよね。
給与自体も高い方ですし、
家賃も光熱費も交通費もかからないので
生活にはゆとりがあります。
私の場合1人で娘を養っていますが
おもちゃも欲しいだけ買ってあげますし
日本食もタオパオで購入してほぼ毎日食べています。
仕事量と給与のバランス
支出と収入のバランスを考えると
こんなに恵まれている働き方、他にないと思っています。
学生と同じ長さの夏休みと冬休み
教師の最大の特権の1つがたっぷりある長期休暇です!
中国は2学期制で夏休みが1ヶ月半から2ヶ月、冬休みも同じだけあります。
その間、外国人教師も休みです。
中国人教師は前後1週間から2週間、研修や講演会などを
入れられていて、少し休みが短いです。
子どもの幼稚園や小学校もほぼ同じ期間が休みになるので
子どもと一緒に過ごせるのが親としては本当に何よりありがたいです。
これも中国で働くことを選んだ大きな理由の1つでした。
子どもと同じ期間休める仕事なんて
フリーランス以外は教師しかありません。
しかもその長期休暇中、基本給の支給はあります。
(大学による)
通常外国人教師は帰国しますが
コロナ政策のため帰国が難しくなり
2年間は子どもと中国国内旅行をしていました。
年に一回の帰国の飛行機代は学校が負担してくれます。
アメリカ人教師の1人は年老いた母親が心配だと
隔離や検査をもろともせず帰国しています。
私は子連れで厳しいコロナ政策下での一時帰国が
大変でリスキーなので、中国の都市部へ行き、
2週間から1ヶ月民泊に滞在して過ごしていました。
都市部へ行く目的は、住んでいる田舎にはない
マクドナルドやスターバックス、本格日本料理を
満喫することと、温泉施設や遊園地などに
行くことです。
民泊の長期滞在も費用がかかるので
大学に「もう2年も日本に帰っていない。毎回の国内旅行の旅費が
かさんでお金がなくなった。」と話すと
特例で2回分の航空券代をくれました!
なんでも要望や提案は言ったほうがいいです!
中国人学生の授業態度は真面目でやりやすい
中国人学生は幼稚園から鬼教師に厳しくしつけられており
教師の話を聞く態度は非常に真面目です。
成績評価の制度も厳しいので、
授業中携帯見てたら減点ですよ!と言っておけば
やめます。
中国に来る前に日本の専門学校でベトナム人留学生に授業を
していたことがありますが、30人中3人しか授業を聞いていなくて
寝てたり携帯でゲームしていたり、私語をしていたり
不良学級に当たったかと思うくらい最悪でした。
そこからの中国でしたので、教師として天国に思えました。
それにネイティブ教師の授業は貴重なので
初回の授業の時はみんなの熱い視線が眩しくて
スターになった気分になります。
ネイティブの一挙手一投足を全身で吸収しようとする
熱意のある学生もいます。
ある大学の日本語科の中国人教師が言っていました。
「日本人の先生は存在だけで学生には学びになる」
高校で日本語を学んだ学生も、ほとんどは大学で
初めて日本人に出会います。
自分の学んだ日本語が日本人に通じるのか
ネイティブの発音や表現
表情や態度、その考え方や意見など
全てが学生にとっての学びとなる。
他の言語でもそうですが
外国人教師、ネイティブ教師は存在だけで
すでに十分な価値があると。
外見ですぐにわかる欧米人の教師の方が
その傾向は顕著ですが、日本人でも
外国人教師の存在は大学の学生募集の売りにもなるし
政府から援助金もかなり出ているようです。
中国人教師は総じて厳しめなやり方が多いので
私は外国人としてリラックスして楽しく学べる
環境づくりを心がけています。
外国人教師の存在意義、
学生は何を求めているのか
楽しくて身に付く教学方法とは
オンラインと対面授業がコロコロ変えられる中で
教師も常に考えて教学スキルをアップデート
していかなければなりません。
同僚との関係はそれほど濃密ではない
中国人の同僚との関係は、それほど濃密ではありません。
2019年当初は食事会が頻繁にあったし
一緒に日帰り旅行に行った先生もいますが
コロナ以降、極端に減ってしまいました。
それに中国では日本のように仕事終わりに
同僚と一杯、などの習慣はないようで
同僚との関係は日本と比べると淡白です。
以前は同じ事務室でしたが、一日中事務室に
いなければならず、会議や勉強会などで多忙な
中国人教師と同じ部屋にいながら後に来たり
先に帰ったりするのは、少し気まずいこともありました。
アメリカ人教師も同じ感覚だったのか
いつの間にか外国人だけが別の部屋に集まるようになり
外国人教師用の事務室兼外国語サロンになりました。
正直、この方が気楽です。
その分日本語科の教師たちとの交流が減りましたが
先生たちは用事や質問があれば訪ねてきたり
チャットや電話で話すこともできるので
問題はないかなと思います。
私の場合は日本語科の中国人教師より
アメリカ人の先生たちややりとりの多い
外事部の先生たちと仲がいいです。
アパートも同じであるアメリカ人たちとは
時々ホームパーティーをしたり
手作りのお菓子をお裾分けしあったりしています。
外事部の先生と外国人教師で日帰り旅行を
したり食事をすることも多いです。
中国は社会全体が中国人と外国人を明確に分けます。
大学内でも、完全に分けられていて
評価表彰の対象になるのは中国人教師だけ、
面倒な会議や勉強会に出なくていい分、
評価もされない。
これも大学によっては差はあるかもしれませんが
うちの大学は外国人教師の評価制度はありません。
例えばスピーチの指導をしてその学生が
受賞をしたら担当の中国人教師は一緒に
表彰されますが、私はされません。
学生座談会では学生の意見や感想がありますが
班長と学級委員と教師たちの対面座談会で
本音を言いづらいやり方では?と思います。
外国人教師は尊重はされていますが
「仲間」ではないのかなという感覚です。
VIPというかお客さんというか
楽な反面、さみしく思うこともあります。
この点は教師の性格によるかなと思いますが
私は組織の中で評価競争していくより
自分の采配で自由に仕事をする方があっているので
小さな不満はあっても、天職だと思っています。
とはいえ、中国は日本人にとって決して住みやすい国ではありません!
この点はまた別記事で書きたいと思います。
中国での生活に適応できるならば
仕事しては最高です!
ですが、あくまで中国大好き語学大好きな私の
個人としての感想です。
人によります。
日本語教師を目指している方は
ご参考ください。