私が現在住んでいる中国の町は地方の地方なので
シュタイナー学園はありませんが
小学校はシュタイナー教育を受けさせたいなあ、と考えていて
四川省にあるシュタイナー学校のお便りを読んでいます。
日本でも中国でも増えつつあるとはいえ
まだまだ少数のシュタイナー教育を、お便りの翻訳を通して
広め、自身も学びを深めたいと思います。
2020.9.11号より(画像はすべてお便り内のものをお借りしています)
幼児の自由遊びの中における大人の役割とは
よく質問があります:自由遊びの中で大人はどんな役割を演じればいいのでしょうか?
大人は何をすれば子どもたちをサポートし、この忙しい世界の中で彼らを健康にのびのびと
成長させることができるのでしょう?
このような質問に関しては、きっと私たちの園生活を見にくれば
違った感覚を呼び覚まし、いろいろ考えるきっかけとなり、いくらか
議論して、変化を起こすことができるでしょう。
01 環境を整える
早くに園庭にやって来て、ある先生が教室のドアを開け、おはようと言いながら
そっと窓を開け、早朝の太陽の光を教室に招き入れます。
それは暖かく、美しい光景です。
エプロンをつけ、その日のおやつと昼食を準備します。
なぜなら、大人は子どもたちが幼稚園にやって来た時に
歓迎されていると感じることができるように遊びと生活の空間を整える
必要があることを先生は知っているからです。
環境が子どもたちを遊びに誘うのです。
先生は子どもたちの遊びの空間の提供者です。
私たちは子どもたちのために空間を提供します。
空間に先生が準備しておく遊びの道具は以下です:
- 低い遊具
- 小さな木の机と椅子
- いろいろなサイズのしっかりと編まれた籠
- 子どもたちが持つことができる籠
- 自然素材で、遊び方の決まっていないおもちゃ
(例えばとうもろこしの皮、実をつけた木の枝、貝殻、松ぼっくり、
石・・・・) - 手作りの自然素材の積木
- 編みぐるみ
- 布でできた人形の家
- ぬいぐるみ(触り心地が重要です。例えば適度に頑丈だけれども硬すぎない、
柔らかな自然の材料で作られており、顔はシンプルなもの)などなど。
02 子どもたちが遊びに夢中になれるよう励ます
子どもたちが次々に登園してきます。その時、園庭を掃除したり、草花の世話をしたり、
メガネをかけてゆっくりとおもちゃを作ったり補修したりしているよく知った
面影を見つけて、とても安心します。
子どもたちは自由に花の水やりなどのお仕事に参加したり、自由に遊んだり、
園庭で蝶々を追いかけたり、2、3人に分かれて泥団子で美味しそうな食べ物を作ったり
します。
生活や仕事をしている他の人の姿も子どもたちは見ることができます。
例えば農園で畑を耕している農家の人や、マスクをつけ、白い割烹着を着ている
食堂の調理師やおばさんたち、朝検診している校医、さらには毎週車で学校に不用品回収に
やってくるおじさんたちなどです。
大切なのは子どもたちが見ると同時に大人の本当の仕事を体験することです。
大人が実際の仕事に一生懸命になっている間、子どもたちはまさしく自由遊びに一生懸命に
なっています。本当の遊びは創造であり、共同作業です。
このような遊びは内側から生み出され、子どもたちがその体をよりよく、より深く
使って、触感、運動の感覚、平衡感覚、そして生きている実感を呼び起こすことが
できます。
子どもたちが内側に持つ願望に火がつけられ、日常生活の光景が子どもたちの想像する
遊びの情景の中にすぐさま一つ一つ出現してきます。
例えば:農場、病院、花屋さん、売り買いする行為、汽車、宇宙船など、
子どもたちと周囲で遭遇するものとの関連も変化します。
同時に子どもたちのために空間を創造するということは、先生は子どもたちの遊びのために
規則、つまり境界を設ける必要があることも意味します。境界がなければ空間も成立しません。
空間は容器に例えることもできます。遊びを進行できる安全な空間です。
規則は例えば”おもちゃを投げてはいけない”、”室内を走ってはいけない”、屋外では
”おもちゃを滑り台に持って上がってはいけない”などです。
先生は観察して、適切な境界とは何か、その境界が遊びの進行を保証しているかどうかを
鋭く見つけなければなりません。
03 先生は新しい遊びのアイデアを出して衝突を解決し、遊びを継続させる必要がある
子どもたちは遊びの中で社交性を発達させます。
時にぶつかることも避けられません。
子どもたちは自分で解決の道を探すこともできますが、
時には先生の協力を必要とします。
そのため先生は仕事をしながら同時に子どもたちの遊びを
観察する必要があります。
子どもたちが助けを必要としている時、私たちはアイデアや
新しい方向を提供します。
子どもたちが私たちのアイデアを使って遊びを継続することが
できた時、先生は子どもたちにどのように創造力を持って問題を
解決すればいいか子どもたちに教えることができたといえます。
子どもたちもこうして自分と他人を尊重する方法を学びとることが
できます。
しかし先生が注意しなければならないのは、たまにこうして手助けをするのは
いいことですが、子どもたちの遊びに参加することは、
しょっちゅうやってはいけないということです。
さらに問題を解決する時の態度はゆっくりと落ち着いたものでなければなりません。
先生は子どもを観察し、子どもの体でキラキラ光る部分を共有し、
それらを小さな幸福の籠の中へ1つ1つ入れていきます。
現場で子どもたちとより多く連携し、都度適切なサポートをします。
先生たちも身の回りのすべての人や物事に対して好奇心と興味を持ち、
平凡な生活の中で驚きや感謝、また敬意を持って家事を行い、
喜びと熱意を持って手仕事をし、暖かみと尊重の気持ちを持って人と交流する・・・・
生活を愛し、平凡な物事を愛する暖かい人間になるよう努めます。
私たちは子どもたちと共に生活を楽しみ、自然を楽しみ、
今ここを落ち着いて過ごしましょう!
・・・”先生”の部分を”大人”や”親”に変えて読むと私たち親が子どもと接する時にも
そのまま当てはめられます。・・・・・