6月10日、4名のアメリカ人教師が中国吉林省の公園で何者かに刺されるという衝撃的な事件が起きました。中国を訪れる外国人には表面上だけでも親切にしろという文化がある中国で起きたこの事件、愛国人民の矛先がいよいよあからさまに外国人に向かうようになってきたのではと言われています。
日本ではまだ報道されていないこのニュースについて、アメリカの華人ニュースサイト、アメリカ大手メディアなどから翻訳してお届けします。
4名のアメリカ人教師が中国吉林省の公園で何者かに刺されて負傷
画像：Xより
事件は6月10日月曜日に起きました。
事件当時の写真には血まみれになって倒れている２人の男性と1人の女性が写っています。（はっきりした画像は既にほぼ削除されています）４人は病院に運ばれて治療を受け、うち1名は腰を刺されて重症ですが、いずれも命に別状はないとのことです。
吉林省は中国の東北に位置します。
画像：Xより
４人のアメリカ人教師はアイオワ州のコーネル大学の教員でうち１人はアイオワ州議員の弟 北華大学とのパートナーシッププログラムで中国を訪れていた
４人のアメリカ人教師はアイオワ州のコーネル大学の教員で、吉林省にある北華大学とのパートナーシッププログラムで中国に派遣されていました。
コーネル大学 画像：CNN
うち1人はアイオワ州の議員の弟で、アイオワ州議会もこの事件に注目しているとのことです。
アイオワ州選出のマリアンネット・ジェーン・ミラー・ミークス下院議員はソーシャルメディアへの投稿で、被害者が十分な医療を受け、できるだけ早く米国に帰国できるよう、米国大使館に連絡を取ろうとしていると投稿した。
アメリカ国務院も「事件を認識して、注視している」としています。
犯人は55歳の中国人男性
中国のソーシャルメディアに上がっていた情報によると、犯人は55歳くらいの中国人男性らしいとのことです。
中国の警察からの正式な発表はまだありません。
追記：11日午後、中国当局は事件発生当日に吉林市内に住む55歳の男を逮捕していたと公表しました。
アメリカ大手メディアも大きく報道
アメリカのCNN、abcニュース、AP通信等の大手メディアも大きくこのニュースを伝えています。
中国では報道規制されている
中国はこうした対外的に自国に不利なニュースが起きた場合、大手メディアでは一切報道せず、SNSなどの情報も削除するなどして規制します。
吉林省の事件に関して、CCTVなど大手メディアでは報じられていません。
中国の大手ソーシャルメディア、Weiboでは、少しだけまだ情報が上がっています。
しかし閲覧数もいいねも極端に少ないです。
動機は？中国の愛国主義、外国を憎むように教育してきた効果が悪い形で出始めたか
中華圏のニュースを中国語で報道しているYouTubeニュースサイト「希望之聲TV」で中国社会に詳しいメディア評論家は次のように話しています。（要約です）
中国では外国人を狙った犯罪は極めて少ない。
この事件の動機については２つの見方ができる。
１つは、長年中国共産党がやってきた愛国洗脳教育、憎しみ教育の効果が悪い形で出始めたということ。西側諸国を憎むように教育してきた成果が、一部の過激な中国人によって暴力的に現され始めた。
もう１つは、現在の中国社会で不満を持つ人が、中共にとって敢えて面倒なことを起こして困らせるために、わざわざ外国人を狙ったという見方だ。
いずれにしても、ゼロコロナ政策を終了してビザ緩和や支払いアプリのパスポート対応など外国との交流を復活させようとしていた、特に教育面での交流を活発にしようと習近平が考えていた矢先に起こされたこのような事件は、間違いなく中米関係に悪い影響を及ぼし、中共のそうした努力を壊すものだ。
しかし、中共は自国民が起こすこれらの事件について責任を逃れることはできない。
習近平にとって思い入れのあるアイオワ州、アメリカとの教育交流を復活させようと画策してきた矢先
CNNでは、習近平国家主席はアメリカとの教育交流を強化させようとしており、特にアイオワ州には思い入れがあると報じています。
中国は、コロナ禍と二国間の緊張により大きな後退をきたした米国との教育協力を強化しようとしている。 中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は、11月に米国を訪問した際、今後5年間で5万人の若い米国人を中国に招聘し、両国間の個人的な絆を育むと発表した。 中国の指導者は、発表の中でアイオワ州との永続的なつながりに言及した。
習近平国家主席は、約40年前に初めて米国を訪問した際、アイオワ州のホストファミリーの家に滞在したが、その経験は「忘れられない」と語っている。 国営メディアが報じたところでは、習近平国家主席は先週、温州大学と中国を拠点とする合弁事業を持つニュージャージー州のキーン大学の学長に宛てた書簡で、中国と米国の大学に「交流と協力の強化」を奨励した。
CNN
