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サッカー界のスーパースター、アルゼンチン代表FWリオネル・メッシが、所属するインテル・マイアミが行っているアジアツアーの中で4日の香港戦だけ欠場し、3日後の7日、日本神戸での親善試合には出場したことで、中国が激怒し、法的措置を取るとまで言い出す騒ぎになっています。欠場の理由は「内転筋の痛み」でしたが、ケガや体調の理由で試合を欠場したことでスポーツ選手が法的に訴えられるなんて可能なんでしょうか?この件の中国の反応、過剰反応している理由について調べてみました。
中国のサッカーファンは何に怒っているの?
メッシの香港での欠場と日本での出場に対する怒りはサッカーファンや香港人だけにとどまらず、中国本土に広がって燃え上がっています。中国のSNS、Weiboではトレンドワードトップ20のうち11がメッシ欠場の件になっています。(メッシは中国語で”梅西”)
蹴り倒された看板
画像:ハンギョレ
中国の人々は何をそんなに怒っているのでしょうか?以下は理由です。
直前まで出場を期待させられていた
香港・星島網によると、契約ではメッシは45分間プレーすることになっていましたが試合直前になってインテル・マイアミ側から出場できないとの連絡があったそうです。原因は脚の筋肉の負傷とのことですが、インテル・マイアミのマルティーノ監督は2日にメッシの負傷は「軽い」「試合に出場する可能性が高い」と語っていたとのことです。さらに主催者は試合前にメッシが出ないことを聞いていなかったと言っています。
香港にメッシくるっていうから
ワクワクしてたのに
ぜんぜんでてこなかった!ベッカムはイケおじでした♡ pic.twitter.com/u4Y43a67ur
— さやか@オンライン爆速収益化の先生(3ヶ月以内の収益化成功率92%キープ中) (@sayakafukugyo) February 5, 2024
観客には欠場の理由が当初伝えられていなかったようです。ベンチには入っていたため、途中から出るかも?とファンはずっと期待していたでしょう。
過去には韓国で同じくスーパースターのクリスティアーノ・ロナウドが韓国リーグ選抜チームとの親善試合に負傷など特別な理由もなく欠場し、猛批判を浴びたことがあり、それと同じ「ノーショー」かと思った人も多かったのかもしれません。
さらにサウジのアル・ナスルに所属を移したロナウドが、1月24日にも中国広東省の深センで上海申花と親善試合を行う予定でしたが、前日の23日に突然延期となり、ひんしゅくを買ったということがあります。
また、インテル・マイアミがメッシを前面に出して香港で大々的に試合を広報したため今回の試合でメッシが活躍するという期待感も大きくなった状態だったとのことです。
画像:X
4日、メッシが香港に来た!と大歓迎ムード
メッシを見るために高額なチケット代を払っていた。払い戻しは不可
この試合のチケットは高いもので4880香港ドル(約9万2000円)で販売されていました。試合終了後、ファンからは大ブーイングが巻き起こり、「金を返せ!」の大合唱が響きました。
試合のチケットは去年12月にオンライン販売が始まって1時間で売り切れ、チケット価格は880~4880香港ドル(約1万7000~9万2000円)です。ただ12月に主宰側はメッシが欠場してもチケットは払い戻さないと公示していて、払い戻しは難しいとのことです。
ちなみに香港の通常のプレミアリーグのチケットは80香港ドル(約1500円)だそうです。
メッシ出場せず「金返せ」の大合唱、パネル蹴り破るファンもhttps://t.co/AZQAuIdzLX pic.twitter.com/wGhTzTvY0D
— 中国動画 (@RC00547555) February 5, 2024
ベンチでサッカーシューズではなく普通のスニーカーを履いていた
SNSでファンから「ベンチでメッシはサッカーシューズではなく普通のスニーカーを履いていた。最初から出る気がなかったんだろ!」と指摘され、マルティノ監督はメッシが出場しないことを決めたタイミングについて、「この日の朝」と話しました。
試合終了後の態度に傷ついた
試合終了10分前から会場は大きなブーイングに包まれていましたが、終了後ファンに向けてコメントを発してほしいという香港政府の要請もメッシは拒否し、香港では一切コメントを発しませんでした。
また、メッシが香港政府行政長官との握手や写真撮影を避けて後ろを通っていたことが録画されています。
梅西,好樣的!!!視頻顯示,在香港特首李家超接見邁阿密國際球員的時候,梅西雙手插兜從後面繞開了與官員的握手。#梅西 #香港特首 pic.twitter.com/KUZ8UQ2r25
— 夏小強 (@xiaxiaoqiang) February 6, 2024
インテル・マイアミは5日に香港を出発。メッシ選手はチームが空港に向かう際、ファンに手を振らなかったと地元メディアは報じました。
3日後の日本での試合に出場したことで中国人の怒りが頂点に
前日にはメッシに日本の試合にも出るなと警告
香港の3日後、7日に日本神戸での試合があり、中国・香港のファンはケガが原因ならそれも欠場するはずだと見守っていました。試合前日の6日は中国のインフルエンサーが中国版TikTokでメッシに警告メッセージを出しました。
この動画は1日足らずで3万以上の「いいね」を獲得しました。
また、香港行政長官も「日本でプレーならみんなが不幸で不快になる」と警告を出していました。
香港と日本でメッシの表情や態度が全然違うと話題に
メッシが日本に到着して試合に出る前から香港にいた時と表情や態度が違うと話題になっています。
親善試合にも出場せず(理由は脚の筋肉を痛めてドクターストップ)無表情だった香港滯在中と違って、日本到着時のメッシが柔らかい笑顔になってて香港でも「よかったね😂」と話題。記者会見で話す姿や元気に練習してる動画も公式アカウントから出ていますし、明日の日本戦は出場できるといいですね!😏 pic.twitter.com/I0hOQTqEDf
— Rie(りえ)香港 (@japanavi) February 6, 2024
<サッカー>日本に到着したメッシ、「香港での態度と明らかに違う」「香港では無表情だったのに日本ではニコニコしてる」―香港メディア(動画あり) https://t.co/Nm5pa3KxIf
— ツイッター速報 (@tsuisoku777) February 6, 2024
東京都内で記者会見に臨むメッシ選手(2月6日)
画像:bloomberg
このようなメッシの表情や態度の違いに対して中国・香港から怒りのコメントが多く集まっています。
日本ではにこやかに出場したことで反日感情も相まって怒りが沸騰
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香港政府はあんたのためにどれだけのことをしたか、至る所あんたのポスター、至る所あんたのチームのテーマカラーピンク、そしてあんたが計画した宴会は邪魔しなかった。本戦はほぼ満席、練習試合さえも空席なし、こんなにもあんたを応援するファンがいるのに、ケガがあるから出場しないは仕方ないにしても、試合後に会場のファンに説明もなし、政府高官との握手もなし、アルゼンチンの大統領だって来た時は高官と握手したよ、あんたはなんの権利で背後から高官を避けていけるんだ?日本に着いて6万人のスタジアムで2万ちょっとの観客、それでもあんたは出場して元気に飛び跳ねてた、あんたは一体誰のためにサッカーをしてるんだよ?あんたのファンは眼中にないのか、今回の香港行きはわざと香港を辱めるためなんじゃないのか?
期待して見に行ったのにメッシのプレーが見られなかったというだけにとどまらず、香港ではしなかったのに日本ではした、しかも態度が違ったことが「反中、親日なのか!」と反日を国家プロパガンダで行っている中国人の感情を爆発させたようです。
中国はスポーツを常に政治と絡めている
香港政府と中国共産党のメンツがつぶされた格好に
政治学博士の林松氏は同国メディア「看中国」で今回の件を「中国共産党は常にスポーツを政治と結び付け、利用してきた。政治家は不人気になるとスポーツを利用する」と指摘。続けて「メッシを通じて香港を称賛することで、李家超(香港行政長官)は北京(中国共産党)と習近平(国家主席)の手柄にできた。しかしおかしなことに、メッシは彼を無視したのだ」との見解を示した。
今回の騒動と、それが巻き起こした広範なメディア報道は、大規模イベントを通じ香港の強みをアピールし、国際的なイメージ向上を目指す政府の取り組みに暗い影を落とした。
2019年の民主化デモとその後の民主活動家の逮捕や指名手配などで世界的にイメージを悪くしているため、今回のサッカー親善試合を通じて国際的なイメージを向上させたい狙いがあったようです。
メッシはそれをわかっていて政治的に利用されるのは嫌だと考えていたという話もあります。
顔に泥を塗られた格好となった李長官は会見で「この件は香港のイメージを傷つけた。責任を追及する」と怒りの表明。
香港在住日本人もXにこのような投稿をしています。
香港政府は主催者の責任追及、政府補助金取り下げ
李長官は定例記者会見で「政府は主催者に対し、イベントの詳細説明と、チケット所有者の要望に積極的に応えるよう求め続ける」と述べた。インテル・マイアミの件は、国家安全条例に次ぐ2番目のトピックだった。
主催者タトラー・アジアは5日、政府補助金1600万香港ドル(約3億円)相当の申請を取り下げることを決めた。ミシェル・ラムニエール最高経営責任者(CEO)はメッシ選手が試合開始時にプレーできると聞いていたと述べ、今回の事態はインテル・マイアミの責任だと指摘。
今回のインテル・マイアミの招致に当たって香港政府は約3億円の補助金を出す用意をしていたそうですが、それは取り下げられたとのことです。
メッシとスポンサー契約を結ぶ企業に批判、不買運動
メッシ選手は過去にWeiboへの投稿で、酒類ブランド「赤水河」を宣伝していますが、コメント欄には何百人ものユーザーが殺到し、メッシ選手との関係を断つよう求めていると報道されています。メッシのインスタグラムへの批判コメントの中にも中国のスポンサーと契約を切れなどと書かれているものがありました。
警察が調査に入り、国家規模の大問題に発展
中国メディア「東洋フォーチュンネットワーク」はメッシの件に関して「警察は通報を受けており、追跡調査のため香港税関に移送した。貿易明細条例違反が発見された場合には適切な法執行措置が取られる」と報道しました。
日本の行政関係者も「中国共産党がこれを利用して極端な措置を取ることも考えられる」と指摘しています。中国国民の怒りを鎮めるためにメッシの入国禁止要求を実行に移す選択肢や、香港側が巨額の損害賠償に踏み切る可能性もあり、マイアミやメッシ、主催者などに法的措置が取られる可能性もあるとのことです。メッシ騒動は国家規模の問題に発展しそうです。
サッカーの親善試合欠場が国際問題に発展。スーパースターメッシは引退を控えて一体どうなってしまうのでしょうか?続報が入りましたらまた追記します。